ハチは産卵管が変化した毒針で外敵を刺す。そのため産卵管を持たないオスは毒針を持たないと考えられていた。
この度ドロバチのオスは交尾器の偽針を持ち、捕食から身を守っていることが明らかとなった。
スズメバチやミツバチは、毒針を刺すことで天敵から身を守る。
しかし毒針は産卵管が変化したものであり、毒針を持たないオスバチは危険でなく、メスの姿形や行動を模倣することで外敵から身を守っていると考えられていた。

オデコフタオビドロバチ(𝐴𝑛𝑡𝑒𝑟ℎ𝑦𝑛𝑐ℎ𝑖𝑢𝑚 𝑔𝑖𝑏𝑏𝑖𝑓𝑟𝑜𝑛𝑠)のオスは”偽針”という交尾器をもち、これを用いて刺すような行動を行う。しかし、単なるメスの行動の真似だと考えられていた。

研究グループの一人はこのドロバチの研究をする中で予期せずオスバチに刺された。
この体験からオスバチも捕食者から身を守るのではないかと考えて、実際に実験で検証することにした。
この研究では捕食者であるカエルとドロバチのオスを一緒の場所に置いた。
その結果、全てのドロバチのオスは捕食されるものの、1/3のドロバチのオスは偽針を使って捕食から免れることを確認した。
なお偽針を除去したドロバチのオスは全て捕食された。
以上の結果からオデコフタオビドロバチのオスはメスのように針を刺して外敵から身を守っていることが明らかとなった。
動物の交尾器を捕食からの防御に使う例は少なく、動物のオス交尾器の役割の更なる理解に繋がると考えられる。
【画像引用元】
figshare CC BY 4.0
https://figshare.com/articles/dataset/Data_from_Wasp_male_genitalia_as_an_anti-predator_defense/21340935
【参考文献】
ドロバチのオスは交尾器で刺して身を護る
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2022_12_20_01.html
【原著論文】
S. Sugiura, et al. “Male wasp genitalia as an anti-predator defense” Curr Biol, 2022 Dec 19;32(24):R1336-R1337
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(22)01820-6
【感想】
今回の発見はドロバチというメスが蛾の幼虫を毒針で麻酔し、住処に貯蔵し幼虫のエサにするという習性を持つハチの生態観察から発見されています。
そのため今まで人と生活圏が異なっていたためオスの交尾器の偽針が捕食から身を守っていることが発見されず、研究の執念を感じます。
性の役割と生殖器の形状が他の生物と逆転しているトリカヘチャタテという昆虫がいたりと、昆虫の性の多様さには驚きを隠せません。
【元ツイート】
https://twitter.com/takatoh_life/status/1605460345513857024



